急に発症、喉に違和感が「何だか変だなぁ〜」と放置している間に腕や足の痛みや腫れ、発熱、血圧低下し、その後、組織が壊死したり、呼吸状態の悪化・肝不全・腎不全などの多臓器不全を来たし、場合によっては数時間で、非常に急速に全身状態が悪化し、重症化してしまう、致死率30%の感染症
劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)とは?
溶血性レンサ球菌(いわゆる溶連菌)には、多くの種類があり、一般的には急性咽頭炎(のどの風邪)などを引き起こす細菌として知られていますが、まれに引き起こされることがある重篤な病状として、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が知られています。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、突発的に発症し、敗血症などの重篤な症状を引き起こし急速に多臓器不全が進行することがある重症感染症であり、その死亡率は約30%とされていますが、重症化するメカニズムはまだ解明されていません。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症に関する専門的な情報は、国立感染症研究所のウェブサイトで確認することができます。
国立感染症研究所
主な症状
最初は、腕や足の痛みや腫れ、発熱、血圧の低下などから始まることが多く、その後、組織が壊死(えし)したり、呼吸状態の悪化・肝不全・腎不全などの多臓器不全を来たし、場合によっては数時間で、非常に急速に全身状態が悪化します。
治療方法
適切な抗菌薬の迅速な投与、必要に応じて緊急手術による広範囲の病巣(びょうそう)の除去、集中治療室での全身状態の管理、などを行います。
発生状況について
日本の2024年の劇症型溶血性レンサ球菌感染症の報告数は、6月2日時点で、1999年に統計を取り始めて以降最多であった2023年の報告数を既に超えています 。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症の最新の発生報告数は、定期的に国立感染症研究所のIDWR速報データに掲載されます。
国立感染症研究所のIDWR速報データ
近年の日本国内での劇症型溶血性レンサ球菌感染症の報告状況
Q&A
Q1. 日常生活ではどのようなことに気をつけたらよいのですか?
A1. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症に限らず、多くの感染症の予防には、手指衛生や咳エチケット、傷口の清潔な処置といった、基本的な感染防止対策が有効です。
また、発熱や咳や全身倦怠感などで食事が取れないなどの体調が悪いときは、かかりつけの医療機関などを受診しましょう。
「すぐに病院に行った方がよいか」や「救急車を呼ぶべきか」悩んだりためらう時に、医師・看護師等の専門家からアドバイスを受けることができる救急安心センター事業【♯7119】に電話相談しましょう。
♯7119導入地域については、消防庁のウェブサイトをご参照ください。
救急安心センター事業(#7119)関連情報
Q3. なぜ近年増加しているのですか?
A3. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症の患者数が増加している理由は必ずしも明らかではありませんが、2023年の夏以降、A群溶血性レンサ球菌による急性咽頭炎の患者数が増加していることが要因の一つである可能性があると考えられています。(劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因となる菌種としては、A群、B群、C群、G群レンサ球菌が主なものとして知られています)
(参考)A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数について
Q4. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症の治療薬はありますか?治りますか?
A4. ペニシリン系抗菌薬と呼ばれる抗菌薬が第一選択肢であり、使用される抗菌薬自体は一般的に使用されるものです。しかし、抗菌薬による治療のみでは改善が困難な場合が多く、緊急手術による広範囲の壊死(えし)した病巣(びょうそう)の除去や集中治療室での全身状態の管理を要する場合があります。
Q5. 劇症型溶血性レンサ球菌感染症のワクチンはありますか?
A5. 現在のところ、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、その原因である溶血性レンサ球菌に有効な薬事承認されたワクチンはありません。
村松社長
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