海外旅行へ行く為の1丁目1番地は旅券(りょけん)(パスポート)の取得ですが、どうにもこうにもそのパスポートの発行数が増えない

 

外務省は2025年1月20日、2024年に発行されたパスポートは382万冊だったと発表した。

同年末時点で有効なパスポートの累計は2164万冊で、保有率は17.5%だった。5〜4割の米国や韓国を大きく下回る。円安による渡航費用の高騰や若者の意識変化などが背景にある。

発行数は23年から30万冊の微増だった。新型コロナウイルス流行前の19年が451万冊だったのと比べると70万冊ほど減っている。

使用可能なパスポート数を人口で割った保有率は13年の24%から低下傾向が続き、21年に2割を割り込んだ。コロナ禍からの正常化が進んでも回復していない。

日本人のおよそ6人に1人しかパスポートをもっていない計算になる。日本旅行業協会(JATA)の統計によると、米国の保有率は5割、韓国は4割、台湾は6割にのぼる。

取得低迷の要因として挙がるのが経済的な理由だ。円安や渡航先の物価上昇を受け、海外旅行を余暇の選択肢から外した人が増えたとみられている。留学費用も高騰している。

意識の変化もある。JTB総合研究所の早野陽子主任研究員は「コロナ禍で海外に行けず、国内の観光地でも十分楽しめると分かったことも影響したのではないか」と語る。

「アジアの新興国と比べても若い世代が海外での活躍を目指す意識が低い傾向にある」とも指摘する。学生らが国際感覚を身につける機会の減少による国際競争力の低下に懸念を示す。

米国際教育研究所によると、23〜24年度に米国の大学などに在籍した日本人はおよそ1万4000人で、コロナ禍前の18〜19年度より22%減

外務省が統計をとり始めて以降、最も新規発行数が多かったのは1996年の638万冊だった。10年間有効なパスポートの発行が始まった時期だ。バブル期の90年前後は400万冊を超える規模だった。

日本政府観光局(JNTO)によると24年に3687万人の外国人が日本を訪問した一方、日本人の出国数は1301万人だった。コロナ禍前の半分ほどの水準にとどまっている。

 

日本経済新聞電子版より2025年2月20日 0

The following two tabs change content below.

村松社長

旅行産業界に身を置いてはや46年。シンガポール航空社の日本でのB2Bリーディングカンパニーから京都の制御機器メーカー傘下旅行社を経て起業して以来2026年2月には早くも30年を迎えます。このコロナ禍で本当の旅行情報を発信するために旅行WEBマガジンを令和3年に立ち上げる。専門は海外の出張など。趣味:散歩ついでのお地蔵さん・神社お詣り、銭湯巡り、落語鑑賞、映画鑑賞。