以下の取材はよく耳にします話題です、行く先々で航空便の運休や遅延で接続便に乗れなかたとか、出張猛者でも、現地で対応するのは至難の業だと思います!
無理な企業法人の出張計画(航程上)を拝見して、確かにその通りに航程が組めるとしても小社ではお断りした、
もし現地で新型コロナに罹患したなら、いつ新型コロナの症状が陰性になるのか、その間は現地で隔離状態になる、快復は誰にも判らないから、当初の航程は雲散霧消になり、組み直しする航程には多額の航空運賃が必要なる、とりもなおさず、出張者ご本人が膨大なストレスを抱え込む事となるから
欧州の空港で続く混乱とコロナの関係
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私にはツキがないのか。2022年6月末、主要7カ国首脳会議(G7サミット)の取材で、開催地のドイツ南部エルマウに出張した時のことだ。
事前に予約していたブリュッセル発ミュンヘン行きの直行便が、出発5日前に航空会社によってキャンセルされたのがすべての始まりだった。
仕方なく、アムステルダムのスキポール空港で乗り継ぐ便のチケットを買い直し、6月25日朝、ブリュッセル空港を出発。スキポール空港で慌ただしく飛行機を乗り換え、ミュンヘン空港に着いた。
だが、今度は荷物受取場所で、いくら待っても自分のスーツケースが出てこない。
30分ほどして職員に尋ねると、既に受取時間は終了したという。周囲には色とりどりのスーツケースが山のように積まれている。持ち主と同じ便に積めなかった荷物だという。遺失物取扱所で手続きをし、ミュンヘン市内で着替えや洗面具を買い集めた。電車で2時間弱のエルマウへ向かった。
2日後、サミット会場で原稿を執筆中、スーツケースがミュンヘン空港に着いたと航空会社からの通知で知った。だがすぐに取りに行ける距離ではない。サミットでの取材を終えた6月29日、もはや意味がなくなった重いだけのスーツケースをミュンヘン空港で回収し、翌日、ドイツ国内で別の取材を済ませた。
夜、フランクフルト空港からブリュッセルへの帰途に就く予定だったが、今度は搭乗便が離陸直前にキャンセルされ、航空会社が用意したホテルで仮眠を取ることに。
◇コロナ明けの経済再開、労働者に負担 だが、ベルギー・アントワープ大学のウォウター・ドゥオルフ教授(航空経済学)は「あなたの経験は、欧州の航空業界の現状を見事に描いた典型例だ」と言う。
新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年以降、欧州の航空会社、空港運営会社は大幅な人員削減に踏み切った。
そして今春、感染収束の兆しがみえたことで、各国は移動の規制の多くを解除。空港には急速に客足が戻った。ところが空港や航空会社の人手不足が混乱を引き起こしている。
ベルギーの航空会社や空港の職員をたばねる労働組合「ACVトランスコム」で書記を務めるビヨーン・バンデンエンド氏は「あなたのフライトのキャンセルは、航空会社や空港の労働者の過剰な業務量が原因です」と説明する。
ベルギーではコロナ拡大に伴う利用客の急減により、ブリュッセル空港で旅行客の荷物の仕分け、運搬などを担当する企業2社のうち1社が20年に倒産した。
引き継いだ企業も採用を控えたため、当初は1500人いた労働者のうち約1000人が職場を去った。空港業務を担当する他の企業や航空会社も「一時休職」などの制度で人員を削減。
「収入減や厳しい労働環境を嫌い、以前の労働者は次々と転職し、新規採用も進みませんでした」とバンデンエンド氏は言う。
新型コロナ規制の緩和で客足が戻ると、労働者1人あたりの業務量が激増した。6月上旬には、十分な休憩時間がないことに怒った荷物運搬担当の職員らが職場を一時放棄するトラブルが起き、航空会社職員もストに打って出た。これが私のフライトのキャンセルにつながったようだ。
ベルギーの地元紙によると、航空業界の混乱から、欧州の主要空港発着の飛行機で6月に欠航となったのは、コロナ禍前の19年6月の3倍を超える7870便に上り、ベルギー国内の空港でも900便が欠航した。そのうちの2便が、私が乗るはずの飛行機だったことになる。
そして、ドゥオルフ教授は私のスーツケースのいきさつについて、乗り継ぎに利用した「スキポール空港の特殊な労働環境が要因」と推察する。
スキポール空港はコロナ前、欧州の空港の中でも特に合理化とコスト削減を進めた空港だ。新型コロナの感染拡大で利用客が減少すると、一時休職ではなく、大量の解雇を実施した。
また乗り継ぎ客の多い空港は、業務量が他の空港より多いという事情もある。別の便に乗り継ぐ旅行者の荷物を、空港の集配担当の作業員が次の行き先ごとに分類し、運搬するからだ。
欧州の航空関連企業は今、利用客数の制限や、手厚い残業代やボーナス、外国人労働者の募集など、多様な手段で人手不足の解消を急いでいる。だが航空業界では、新しい労働者を雇うにも訓練期間が必要で、セキュリティー上、身元確認などにも時間がかかる。採用してもすぐに配属できないのが現状だ。
ドゥオルフ教授は「結局、航空業界が未来を的確に予測せず、労働者不足と客足の急回復について準備していなかったことが、すべての混乱のもとになった。
コロナ禍など大きな問題が起きれば、人々はその対処に集中する。そのため問題が解消した時の変化にまでは頭が回らない。それが今回の教訓だ」と語る。
ドゥオルフ教授は、旅行者数がピークを越え、景気が後退する懸念が出ている年末まで、混乱は続くと予想する。
バンデンエンド氏は「航空業界で労働者が集まらないのは、そもそも職場に魅力がないからだ。労働環境や待遇を抜本的に改善しないことには、何も始まらない。私たちは、不足すればすぐに足してすむ部品ではない」と語る。
生身の人間が活動する経済は、経営者が脳内で描く未来図や、経済学の数式ほど単純ではない。
経済の転換期には、どうしても調整期間が必要となり、また長年蓄積したひずみも表面化する。私の「不運」の後ろには、多くの労働者の怒りと苦しみがある。
それを強く実感できたことだけでも、むしろツイていたのだと自分に言い聞かせよう。【毎日新聞欧州総局長・宮川裕章コラムから】
村松社長
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